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研究・業績

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研究内容(現在進行中の研究)

I. 婦人科腫瘍学

1. 卵巣明細胞腺癌に対するIL-6/IL-6R-Stat3シグナルを標的とした分子標的治療法の確立

腫瘍局所免疫は癌の発生及び進展に関わる。我々は卵巣癌における免疫関連遺伝子の網羅的発現解析により、明細胞腺癌では炎症性サイトカインであるIL-6が高発現であることを確認した。そこで本研究では、明細胞腺癌におけるIL-6/IL-6R-Stat3シグナルの臨床病理学的な関与及びその分子標的治療の可能性について検討した。Informed consentの得られた明細胞腺癌84例を対象として、手術検体よりホルマリン固定組織切片を作成し、IL-6受容体 (IL-6R) 及びリン酸Stat3 (pStat3) の発現を免疫組織染色法により検討した。その結果、IL-6R高発現は単変量及び多変量解析のいずれにおいても予後不良因子となることが明らかとなった。一方、IL-6R発現と年齢、臨床進行期、残存腫瘍径、pStat3発現などの臨床病理学因子との相関関係は認めなかった。次に、明細胞腺癌細胞株を用いて、IL-6/IL-6R-Stat3シグナル抑制効果を検討した。siRNA法及び抗IL-6受容体モノクローナル抗体(トシリツマブ)によるシグナル抑制により、MMP-9発現が制御され、細胞の浸潤能が低下した。また同様にStat3のリン酸化が抑制されることにより、細胞の抗癌剤(シスプラチン)に対する感受性が亢進した。以上の結果は、 IL-6/IL-6R-Stat3シグナルが明細胞腺癌において高度に活性化されており、細胞の悪性化において重要な役割を担っていることを示している。一方、明細胞腺癌に対するIL-6/IL-6R-Stat3シグナルをターゲットとする抗IL-6受容体モノクローナル抗体(トシリツマブ)を用いた分子標的治療の可能性が示唆された。
 
2. 卵巣明細胞腺癌の生物的特徴を規定する体細胞性コピー数変化の検討

卵巣明細胞腺癌の生物学的特徴(日本人に高頻度、子宮内膜症合併、血栓症合併)に関与する分子機構の解明は、他の組織型に比べ進行例で予後不良であるこの卵巣癌組織亜型の発生及び進展機序を明らかにする可能性がある。Informed consentが得られた卵巣明細胞腺癌144症例(日本人120例、韓国人15例、ドイツ人9例)を対象とし、手術検体より抽出したDNAをアレイCGHマイクロアレイ解析に供した。検出された体細胞性コピー数変化と各種臨床病理学的因子との関連を統計学的に検討した。染色体増幅は8q (>60%) において、染色体欠失は9q及び13q (>40%)で最も高頻度であった。日本人において他人種に比し、統計学的有意に検出されたコピー数変化は、8q (全領域) (q=0.0001) と20q13.2 (ZNF217領域) (q=0.0078) であり、ZNF217遺伝子増幅は定量PCR法により追認された。またZNF217 mRNA発現は定量RT-PCR法により日本人で有意に高発現であった (p=0.027)。子宮内膜症合併は、EFGR遺伝子領域の増幅と有意な相関関係を認め (p=0.0001)、EGFR mRNAは子宮内膜症合併症例において有意に高発現であった (p=0.037)。患者予後及び血栓症と関連する体細胞性コピー数変化は検出されなかった。卵巣明細胞腺癌が日本人に高頻度に発生する遺伝的背景としてZNF217遺伝子の増幅が、さらに子宮内膜症からの発生にはEGFR遺伝子の増幅が関与していることが示唆され、これら遺伝子群をターゲットにした創薬アプローチは日本人の卵巣明細胞腺癌症例のprecision medicineに寄与する可能性が見いだされた。
 
3. 卵巣明細胞腺癌における発癌関連遺伝子の分子生物学的解析

卵巣明細胞腺癌(CCC)では17q23-25領域における新たなドライバー遺伝子の存在が示唆されている。CCCにおいて、17q23-25増幅はmiR-21高発現を介してPTENの発現低下を来し癌化に寄与することが想定される。Informed consentの得られた28例のCCC手術検体及び5種のCCC細胞株を対象とし、CGH法による染色体ゲノムコピー数解析、real time RT-PCR を用いたmiR-21発現解析、免疫組織染色法及びwestern blotting法によるPTENタンパク発現解析を行った。また、CCC細胞株を用いてmiR-21の発現抑制による解析を行った。17q23-25領域の増幅を認めた9例中4例でmiR-21高発現と同時にPTENタンパク質発現低下を認めた。17q23-25増幅は有意に予後不良因子であった。Mir-21高発現と子宮内膜症の有無において有意な相関を認めた。RMG2におけるsiRNA法によりmiR-21 発現抑制はPTENタンパク質の発現誘導を来した。CCCでは17q23-25増幅によるmiR-21高発現が、PTEN癌抑制遺伝子を介した癌化に関与している可能性が示唆された。
 
4. 卵巣漿液性腺癌におけDYRK2を介した転移メカニズムの解明

P53のSer46をリン酸化し、アポトーシスを促進するキナーゼとして注目されたDYRK2(Dual specificity tyrosine phosphorylation-regulated kinase 2)は転写因子Snailのユビキチン化を促進し、癌の転移及び浸潤の制御に関与している。我々はこれまでに卵巣漿液性腺癌(SA)の特性とDYRK2の関与について検討し、DYRK2がSAにおいて転写因子Snailのタンパク分解を促進し、上皮間葉転換を抑制すること、またその結果、転移浸潤能及び化学療法感受性を制御し、予後に関与していることを証明し発表した。今後はDYRK2が予後予測因子のみならず、治療薬として使用できるようアデノウィルスを用いた遺伝子治療を含めたin vivo実験を検討したいと考えている。
 
5. 腹腔鏡下子宮筋腫核出術のための子宮縫合モデルによるトレーニング法の構築

今日では婦人科手術領域における腹腔鏡手術は一般的な手技となったが、腹腔鏡下子宮筋腫核出術(Laparoscopic Myomectomy:LM)は体腔内縫合の習熟が必須の術式であり、その導入には十分なトレーニングを要する。今回我々は身近に市販されている物品で子宮縫合モデルを作成し、当院でのLMを導入したので報告する。子宮縫合モデルは、子宮に類似した形状のぬいぐるみに針金を長軸方向に貫通させ、作成する。針金の操作により子宮マニュピレーションを再現しながら実際に直面しうる様々な位置関係のもとで縫合トレーニングを行う。当院において平成26年7月~12月までLM4例を合併症なく施行した。従来のトレーニング器具と比べ、本法はLMにおける複雑な立体的縫合操作を再現でき、現実に即した縫合トレーニングであることが示唆された。
 
6. I 期卵巣明細胞腺癌におけるARID1A発現の臨床病理学的検討

卵巣明細胞腺癌 (CCC) の発癌過程に寄与するARID1A遺伝子の発現変化と予後の関連には一定の見解がない。 I期CCCは5年生存率約90%と比較的良好であるが、 IA期と比較しIC2、 3期は予後不良である。 IA期の術後化学療法の必要性、 IC2、 3期の更なる予後改善といった課題を有する。 本研究では、 I期CCCにおけるARID1A発現消失の臨床病理学的意義を明らかにすることを目的とした。 Informed consentの得られたI期CCC 188例から採取した手術検体を用いて、 ARID1A発現について免疫組織染色法により解析し、 予後を含めた臨床病理学的因子との相関を検討した。全188例 (IA 51例、 IC1 82例、 IC2 18例、 IC3 37例) のうち89例(47%) (IA 21例; 41%、 IC1 33例; 40%、 IC2 9例; 50%、 IC3 26例; 70%) にARID1Aの発現消失を認めた。 発現消失は臨床進行期と逆相関し (IA、 IC1 vs. IC2、 3; p<0.01) 、 腹水細胞診陽性例では陰性例に比して有意に発現消失の増加を認めた (p<0.01) 。一方、 年齢、 内膜症性嚢胞合併の有無及び予後については明らかな相関関係を認めなかった。内膜症性嚢胞合併症例 (105例) を対象としたサブセット解析においても、IC2、 3期 (p=0.001) 及び腹水細胞診陽性 (p<0.001) においてARID1A発現消失を高頻度に認めた。内膜症性嚢胞非合併症例 (83例) においては、ARID1A発現消失と臨床進行期、 腹水細胞診に相関を認めなかった。過去の報告と同様にCCCの約半数にARID1A発現消失を認めた。ARID1A機能喪失はCCCの初期発癌過程に関与するのみならず、内膜症性嚢胞由来のCCCにおける腫瘍の進展、特に腹水中への癌細胞出現にも関わる可能性が示唆された。
 
7. 局所再発卵巣がんに対する放射線治療の効果

複数回化学療法施行後の局所再発卵巣がんに対して放射線治療がなされた61例を対象にその治療効果を検討した。本研究では病勢の安定化以上の効果(CR、 PR、 MR、 NC例)を有効例とし、化学療法、放射線療法のsynergism、両者の交叉耐性を考慮し前治療との間隔を基準に次の3郡に分け効果を判定した。I郡: < 1ヶ月、II郡; 1-6ヶ月、III郡; > 6ヶ月。全症例の生物学的有効線量の中間値は60.0 (15.5-72.0)Gy、照射部位はリンパ節36例、腹腔内6例、骨盤内5例であり、組織学的には漿液性癌23例、粘液性癌 4例、類内膜癌3例、明細胞癌6例であった。再発後生存期間は放射線治療反応例で16ヶ月、非反応郡で2ヶ月(P = 0.013)であり、 放射線反応は前治療との間隔が短く、前化学療法感受性症例で効率に認められた。  
 
8. 産婦人科開腹手術閉創におけるJ-VACドレーンの有用性についての検討

開腹手術での創部離開の頻度は約4-29%、SSIは約20%と報告されている。創部への浸出液の貯留は創傷治癒を阻害し離開やSSIの発生に関わっている。今回は創部出血・浸出液の排液法として術創皮下J-VACドレーン(JVD)の有効性を検討した。対象は2009年10月から2011年2月にJVDを留置した開腹手術症例192例である。期間内は全例に筋膜前面皮下にJVD(10Fr)を留置した。術後1日目、2日目の排液量と年齢、BMI、皮下脂肪厚、皮膚切開法、埋没縫合の有無、創傷治癒危険因子の有無との関連、さらに創部合併症の頻度に関して検討した。平均年齢40歳、平均BMIは23.9kg/m2、平均皮下脂肪厚は2.49cmであった。皮膚切開法は縦切開101例、下腹部横切開91例であった。皮下脂肪厚は2cm以上の症例は115例であった。JVD排液量は横切開や埋没縫合がない場合で多かったが、BMI、皮下脂肪厚との相関はなかった。皮下血腫は3症例存在したが、治療を有する離開は2例(1%)のみであった。産婦人科領域の術創閉鎖において皮下JVDはきわめて有用であり、対象の制限は不要で埋没縫合は省略可能であることを初めて明らかにした。
 
9. 顆粒膜細胞腫56例の検討

顆粒膜細胞腫は境界悪性腫瘍に分類され比較的予後良好であるが、長期間経過して再発することがある。今回我々は顆粒膜細胞腫の再発に関連した臨床病理学的因子を調査した。1990年から2014年までに関連施設で治療を行った顆粒膜細胞腫56例を対象とし、後方視的に診療録を調査した。さらに初回手術検体のパラフィン包埋切片を使用し、ERα、PR、Ki67、FSH、GATA4、TGF-β、IGF-I、FOXL2について免疫組織染色を行った。これらの臨床的因子と免疫組織染色におけるタンパク発現について、再発との関連を調査した。初回治療時の平均年齢は49.2歳、腫瘍径は平均10.8cm、術式は付属器摘出術のみの症例が23例、付属器摘出術に加えて子宮全摘出を行った症例が33例であった。残存腫瘍を認めたのは1例のみであった。術後に化学療法を行ったのは4例であった。臨床進行期はI期52例、II期1例、III期3例であった。平均観察期間は82.9ヵ月、再発例は7例(12.5%)であった。再発までの平均期間は106ヵ月で、10年以降の再発が3例(42.8%)認められた。単変量および多変量解析において、残存腫瘍のみが再発との関連を認めた。Mitotic indexが5/10HPF以上の症例は4例(7.5%)であった。免疫組織染色ではERα強発現は11例(20.7%)、PR強発現は43例(79.2%)、Ki67強発現は14例(24.5%)、GATA4強発現は24例(44.4%)、FOXL2強発現は35例(64.8%)であった。全ての症例で、FSHは陰性、かつTGF-βおよびIGF-Iは強陽性であった。いずれの因子も予後との関連は認められなかったが、再発例全てでPRは強発現していた。顆粒膜細胞腫は10年以上経過して再発することがあり、長期的な経過観察が必要であることが確認された。残存腫瘍は顆粒膜細胞腫の再発リスク因子であるため手術時に注意深く腹腔内を観察し、完全摘出手術を行うことが重要である。
 
10. 卵巣漿液性境界悪性腫瘍に関する臨床病理学的検討

卵巣漿液性境界悪性腫瘍(serous borderline tumor ; SBT)の病理学的予後不良因子を後方視的に評価し、低異型漿液性癌再発やLGCS進展の予後不良因子を探る。さらに、SBTにおけるKRAS/BRAFの蛋白発現変化を検証し、臨床病理組織学的特徴、病理学的予後因子との関連を検討する。2000~2013年に当院で初回手術を施行したSBT43例を対象とした。SBTにおける病理学的予後不良因子として挙げられる微小乳頭状パターン、微小浸潤、腹膜インプラント、リンパ節転移について統計学的検討を行った。加えて、KRAS/BRAF発現を免疫組織学的に評価した。年齢中央値40歳(23-84)、進行期はI期34例(79%)、II期2例(5%)、III期7例(16%)であった。両側性発生を12例(28%)、外向性発育を11例(26%)、子宮内膜症併発を19例(44%)に認めた。微小乳頭状パターンを5例(12%)、微小浸潤を15例(35%)、腹膜インプラントを8例(19%)、リンパ節転移陽性を2例(5%)に認めた。統計学的解析では、腹膜インプラントと両側発生や外向性発育に有意な相関を認めた(P = 0.004、 0.002)。免疫組織化学染色が可能であった42例のうち、KRASは7例(17%)、 BRAFは14例(33%)で過剰発現を認めた。微小乳頭状パターンを伴う症例では、有意にKRAS/BRAF発現が亢進していた。両側発生、外向性発育は、腹膜インプラントと有意な相関を認め、SBTの予後因子として重要である可能性が示唆された。微小乳頭状パターンを伴うSBTでは、KRAS/BRAF protein kinase pathwayの活性化が認められ、LGSC進展に関与している可能性が考えられた。
 
11. 樋口式横切割法を応用したReduced Port Surgeryの導入

腹腔鏡手術は医療機器の進歩と共に大きく発展し、さらなる低侵襲手術の需要に対するReduced Port Surgeryの概念が普及している。当教室では良性腫瘍や帝王切開の際に、皮下組織を頭側へ剥離し、筋膜をT字切開することで、膀胱の位置を確認しながら腹膜を縦切開する樋口式横切割法にて開腹している。今回良性卵巣腫瘍に対して同手技を応用した低位単孔式腹腔鏡下手術(L-SILS)を導入し、その有用性や安全性について検討した。平成26年3月から8月に腹腔鏡手術を施行した良性卵巣腫瘍51例(L-SILS22例、多孔式手術29例)を対象とし、患者背景や手術成績、周術期合併症、術後疼痛について統計学的に検討した。L-SILSは樋口式横切割法を応用した恥骨上縁2-3cmの小切開によるアプローチとした。術後疼痛は安静時痛および体動時痛を視覚的評価スケール(VAS)にて評価した。年齢平均値33.8歳(19-65)、診断は成熟嚢胞性奇形腫25例(L-SILS17例)、子宮内膜症性嚢胞20例(L-SILS 2例)、粘液性腺腫2例(L-SILS 1例)であった。腫瘍径平均値はL-SILS群9.94cm(4.0-30.0)に対し多孔式群7.06cm(4.2-10.0)と有意差を認めた(p=0.018)。手術時間平均値はL-SILS群112.9分(72-150)、多孔式群136.6分(76-237)と前者で有意に短縮していた(p=0.017)。術後疼痛や出血量、合併症、入院期間に有意差は認めなかった。本術式は恥骨上縁の極小切開でありながらも膀胱損傷を確実にさける切開法で、術創が陰毛に被覆されるため極めて整容性に優れる方法である。さらに従来法と同等以上の安全性を有すると共に、巨大腫瘍に対する有用性が示唆された。子宮筋腫に対しても同様の試みを始めたので合わせて報告する。
 
II. 周産期母子医学

1. 妊娠中のストレスと産後うつ病の関連性についての検討

近年、不妊治療後の高齢妊娠や仕事を継続しながらの妊娠が増加し、妊娠中のストレスや疲労と産後の精神状態の悪化との関連が注目されている。産後うつ病は妊娠中のストレス及び疲労との関連が言われているが、定量的に評価するバイオマーカーを用いた研究は未だ少ない。本学ウイルス学講座ではヘルペスウイルス(HHV-6、HHV-7)を利用し、客観的に疲労・ストレスを評価する方法の開発を行っている。そこで我々は妊娠中と産後の唾液と血液からHHV-6、7量と抗体価を測定し、心理テストを併用してストレスと産後うつ病の関連についての研究を行っている。26年度7月より開始し135例の登録を終了し、検体を集積しているところである。
 
2. 出生前診断における遺伝カウンセリングの重要性の検討

我々は、適切な遺伝カウンセリングを行った上で、高リスクの妊婦の胎児異数性の検査を行っている。これらの臨床データ、検査結果、妊娠転帰を集計している。日本での歴史的な出生前診断に対する姿勢に配慮しながら、母体血漿を利用した非侵襲的な胎児異数性検出の検査を開始した。我々のデータは出生前遺伝学的検査に関する議論を起こし、そして日本における遺伝カウンセリングの質の向上と周産期管理の改善につながることが期待されている。
 
3. 産科合併症例における抗リン脂質抗体および凝固因子異常の関与

抗リン脂質抗体 (aPLs)及び凝固因子異常が関与する産科合併症の病態を明らかにし、適切な管理法設定の資とするため、当科産科合併症例(子宮内胎児死亡、妊娠高血圧症候群、重度子宮内胎児発育遅延、常位胎盤早期剥離)のうち、インフォームドコンセントを得られた症例に対し産後2ヶ月目以降に各抗リン脂質抗体(抗カルジオリピン抗体、 抗CLbeta2GP1抗体、 ループスアンチコアグラント、 抗フォスファチジルエタノールアミン抗体)と凝固因子(Protein C、 Protein S、 第XII因子)を測定し、臨床的因子並びに病理像との関連性を比較検討している。その結果、約170症例の既往産科合併症例のうち、99パーセンタイル以上のaPLs陽性症例(APS群)は12.7%、 凝固因子異常症例(CF群)は14.5%であった。さらにこの約3割を占めるAPS群とCF群で次回妊娠でのヘパリン療法の有用性が示された。しかし、CF群では分娩週数を延長させるもFGR傾向であり、胎盤病理では絨毛周囲フィブリン沈着の頻度がCF群でAPS群に比べると高かった。次回妊娠に対するヘパリン療法のプロトコール変更(投与量、期間など)の必要性が示唆された。
 
4. 妊娠高血圧症(PIH)における胎盤内ビリルビン関連酸化ストレスマーカーの免疫組織学的検討

PIH症例において酸化ストレスが関与していることが知られている。今回我々は、酸化ストレス関連のマーカーであるバイオピリン(BPn)に注目した。BPnはビリルビンの酸化代謝産物で、その生成過程にHO-1が関与し、胎盤内血管内皮傷害の影響を示唆する報告がある。そこで、抗ビリルビン抗体と抗HO-1抗体を用いてPIH症例胎盤における酸化ストレス反応の局在と胎盤内血管への影響を免疫組織化学的に検討した。当施設でのPIH 10例と、コントロールの胎盤を対象とした。材料はすべてホルマリン固定パラフィン包埋切片を用い、免疫組織染色は抗HO-1抗体(EP1391Y) と抗ビリルビン抗体(24G7)を用いてABC法に準じた。PIH群において抗HO-1抗体陽性細胞は、らせん動脈周囲、樹状細胞、合胞体結節、梗塞巣周囲などに観察され、数、強度ともにNC群と比較しやや増加している程度であった。一方、抗ビリルビン抗体の染色強度は抗HO-1抗体より弱発現の傾向であったが、その陽性細胞は抗HO-1抗体陽性細胞と同部位で確認され、特にdecidual vasculopathyの部位では梗塞巣周囲に集簇性にみられ、コントロール群と比べ有意差を認めた。酸化ストレス反応で生成されたビリルビン代謝産物の胎盤内での存在が確認され、またPIH群とコントロール群とで明らかな差を認めたことから、今後、尿中BPn値がPIH発症の予知や重症度を表すバイオマーカーになり得る可能性があると考えられた。
 
III. 生殖内分泌学

1. 当院におけるがん・生殖医療の動向 臨床導入における問題点を探る

がん治療と生殖医療双方の進歩により、がん患者の妊孕性温存が重要視され始めている。本研究では、当院の悪性腫瘍の患者で精子凍結または胚凍結を施行した患者を対象に各年次のがん・生殖患者数の推移とその内訳や傾向・問題点を分析した。結果は、化学療法後の依頼件数が減少、未婚者の精子凍結件数が増加しており、2012年に日本・がん生殖医療研究会が設立されてから、がん・生殖医療の考えが社会に浸透してきている影響と考えられた。がん・生殖医療は原疾患の治療が最優先であり、妊孕性温存に関する検討を早急に行うためには、正確な情報提供・精神的サポートの重要性が高く、多職種によるサポートチームでの対応が必要と考えられる。今後は、施設間および職種間の十分な連携がとれたシステム構築が必要と考えられた。
 
2. 「卵子の老化」という言葉が不妊患者に与えた影響 不妊カウンセリング外来の動向からの考察

「卵子の老化」という言葉が不妊患者に与えた影響について、不妊カウンセリング外来の動向から検討した。不妊カウンセリングを行った42例(のべ45回)を対象とした。84個のキーワードが得られ、治療終結、高齢不妊といった「卵子の老化」に関連するものが14個ずつと最も多かった。この二つのキーワードで全体の3分の1を占めた。その後、排卵誘発12個、メンタルケア12個と続いた。2011年以前は、「治療終結」、「高齢不妊」が占める割合は15.9%であったが、2012年以降は39.3%と2倍以上に増え、「卵子の老化」に対する関心の高まりが影響を与えている可能性が示唆された。

 
 
 
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医学研究実施のおしらせ

  「婦人科腫瘍の発生、進展に関与する遺伝子変化の 検討とその分子標的治療の開発
-バイオリソース・データベースの構築-」


本学倫理委員会の審査を受け、倫理委員会承認日から「婦人科腫瘍の発生、進展に関与する遺伝子変化の検討とその分子標的治療の開発-バイオリソース・データベースの構築-」に関する研究を行うことになりました。
本研究は、当院におけるあなたの診療に際して発生した血液や組織など、また手術などで摘出された組織の残りと、それらに付随する診療情報を、あなたの病気の研究を含めた広い範囲の医学研究のために活用すること、及びそれらの研究のために血液を採取することについてご協力をお願いするものです。
研究対象は、平成15年3月から婦人科腫瘍(卵巣がんや子宮がんなどで良性や境界悪性も含む)と診断され「ヒトゲノム研究を含む遺伝子解析研究の同意書」に同意をした患者さんを対象としています。
全ての試料に対し、匿名化処理を行ないますので、被験者の方の個人情報は保護されます。研究の被験者となることを希望なさらない場合、お申し出いただければ、ただちに研究対象から除外いたします。
この研究にご質問のある方は、下記の連絡先までお申し出ください。


 
連絡先
東京慈恵会医科大学
産婦人科学講座 研究代表者
[氏 名] 岡本 愛光
TEL:03-3433-1111  (内線3521)
 


 
「AYA(Adolescence and Young Adult)世代卵巣がんの 治療標的の同定を目指した体細胞ゲノム解析を目指す研究」

本学倫理委員会の審査を受け、倫理委員会承認日から[AYA(Adolescence and Young Adult)世代卵巣がんの治療標的の同定を目指した体細胞ゲノム解析を目指す研究]を行うことになりました。
本研究は、[国立がん研究センター研究所と共同で行われる、AYA世代がん(15歳から39歳まで)を対象とした卵巣がんの患者さんの生殖細胞および体細胞遺伝子異常の特徴を明らかにし、新しい治療法を開発する研究]です。研究対象は、平成15年1月から平成32年12月までに、「婦人科腫瘍の発生、進展に関与する遺伝子変化の検討とその分子標的治療の開発」(倫理委員会受付番号14-132(4001))、「婦人科腫瘍の発生、進展に関与する遺伝子変化の検討とその分子標的治療の開発-バイオリソースバンク・データベースの構築-」(倫理委員会受付番号28-083(8326))に同意が得られている卵巣がん患者さんを対象としています。
全ての試料に対し、匿名化処理を行ないますので、被験者の方の個人情報は保護されます。研究の被験者となることを希望なさらない場合、お申し出いただければ、ただちに研究対象から除外いたします。
この研究にご質問のある方は、下記の連絡先までお申し出ください。


 
連絡先
東京慈恵会医科大学
産婦人科学講座 研究代表者
[氏 名] 岡本 愛光
TEL:03-3433-1111  (内線3521)
 


 
「AYA(Adolescence and Young Adult)世代卵巣がんの 個別化予防に資する遺伝要因の同定を目指す研究」

本学倫理委員会の審査を受け、倫理委員会承認日から[AYA(Adolescence and Young Adult)世代卵巣がんの個別化予防に資する遺伝要因の同定を目指す研究]を行うことになりました。本研究は、[国立がん研究センター研究所と共同で行われる、AYA世代がん(15歳から39歳まで)を対象とした卵巣がんの患者さんの生殖細胞遺伝子異常の特徴を明らかにし、がんの予防を目指す研究]です。研究対象は、平成15年1月から平成32年12月までに、「婦人科腫瘍の発生、進展に関与する遺伝子変化の検討とその分子標的治療の開発」(倫理委員会受付番号14-132(4001))、「婦人科腫瘍の発生、進展に関与する遺伝子変化の検討とその分子標的治療の開発-バイオリソースバンク・データベースの構築-」(倫理委員会受付番号28-083(8326))に同意が得られている卵巣がん患者さんを対象としています。
全ての試料に対し、匿名化処理を行ないますので、被験者の方の個人情報は保護されます。研究の被験者となることを希望なさらない場合、お申し出いただければ、ただちに研究対象から除外いたします。
この研究にご質問のある方は、下記の連絡先までお申し出ください。


 
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東京慈恵会医科大学
産婦人科学講座 研究代表者
[氏 名] 岡本 愛光
TEL:03-3433-1111  (内線3521)
 
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